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第45話※
あれからすぐに那智は啓吾の家に来た。
那智から漂う負のオーラを感じ、改めて今あいつはご立腹中なんだということを晒しめられる。
ムスッとした顔の那智は部屋に入るなりベッドの上に勢いよく横になった。
啓吾はそんな那智をしり目に床に座り、ベッドの背に凭れた。
「で、フラれた理由は?」
「他の男に...乗り換えてた...」
「えっ、何それ、那智と付き合ってたのに他の奴のことが好きになったっていうのかよ」
那智のフラれた理由に驚き、勢いよく那智の方を向いた。
俺としては嫌なことだったが、那智は女子の扱い方が上手かった。
女子ウケのある性格の持ち主だ。それに顔もいい...だからフラれた理由も予想外のことだった。
「ち、違う!さやが悪趣味に走っただけだ!」
妙にそこんとこの自信が大きかった那智は顔を赤くして啓吾の言葉を全否定した。
―あぁ、ごめん那智。その姿めっちゃ可愛く見える。
「そ、そう...てか、その相手の男は一体誰なんだよ」
「相手は...」
そう言ったきり、那智は黙ってしまった。
多分、口に出してその男に負けたということを言うのが嫌なのだろう。
頭の中で考えるだけでなく、言葉として出せばそのことがずっしりと心にくるから。
「...あーっ、もう!...湊、琉依。それが相手の名前だ」
「...っ」
俺はその名前を聞いて鳥肌がたった。
湊 琉依...俺はそいつを知っている。だけどそれはただ単に同じ学年だから、などという理由では、ない。那智に言うことはないであろう深い理由があった。
「へぇ...湊、な。そいつぁ、悪趣味なこった」
俺は会えてリアクションを薄くした。あまりこいつの話はしたくない。
「...く...んだ」
「ん?」
「ムカつくんだ!そいつのことが!」
那智はギリっと唇を噛んでいた。
「那智...」
俺は静かに那智の隣へと座った。
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