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第80話

 「那智ー!ちょっとこの紙、職員室に届けてきてもらってもいい?」  「おっけー」  クラスの友人に言われるまま那智は数枚の紙を受け取り、教室を後にした。  出し物が決まって数日後、那智のクラスではさっそく学校祭に向けて準備作業が行われた。  学校祭も2度目となり、気合いが入った皆は盛大なお化け屋敷をつくろうと張り切っている。  そんな皆の姿を見てるとこちらも何だか楽しくなってきて、ついこないだのあの啓吾との出来事は全部嘘だったのでは...なんて考えが出てきてしまう。  そんなことありえないのに。  「失礼しましたー」  友人に頼まれた紙を担任に渡し、作業に早く戻ろうと職員室を足早に後にした。  「 児玉? 」  そして教室に向かって歩いている時、どんなに聞いても飽きないであろう声が俺の名前を呼んだ。  「あれ、湊じゃん」  声のした方を見るとそこには何やら荷物をたくさん持っている様子の湊がいた。  那智は駆け足で湊の方に向かい、隣を歩く。  「買出しにでも行ってたのか?そんな荷物持って、」  「あぁ、うん。那智の次はクラスにパシラれた」  湊は冗談めかしてそういってきた。「お前がパシラれキャラかよ、」なんてツッコミを入れ、自然に肩をたたく。  「そう言えば望は?一緒にいないなんてめずらしい」  ―まぁ、そのおかげで俺はテンションが下がることなく湊と接しているのだが。  「望は教室でなんか作ってる」  湊はどこかつまらなさそうな顔をして、そう言った。多分、望は湊と同じクラスだが作業に集中して湊にはかまってくれないのだろう。  きっと湊はそれが不満なんだ。  「そっかぁ、」  なんだか急に気分が下がり、その一言で口を閉ざしてしまう。  「お前、清水となんかあったのか?」  「え...」  すると急に湊はそんなことを言ってきた。まさか啓吾とのことを言われるとは思わなかった俺はビクリと肩が揺れてしまった。

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