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第79話

 「はい、それではこれから学校祭でのクラスの出し物などを色々と決めていきます」  教卓の前には学級委員長が学校祭についての説明をしていた。そして出し物は何がいいかというアンケートをとるために全員に紙が配られた。  出し物かぁ...俺的には盛り上がるのがいいから...うーん、とりあえずカフェ系はなしかな。  啓吾はなんて書いているんだろう。あぁ、でも無記入もありっていってたから何もかいてないかな。  ―あー、啓吾と話し合いたい。  周りを見れば、みんな仲のいい付近の友人たちとザワザワと話し合っている。  そんな姿を見ていいなぁ、なんて羨ましがったりしている俺。  だけどなんだか、啓吾を1人おいて他の友人たちと話し合うのが嫌で、1人もんもんとどうしようかと考える。  ―うーん...カフェ系はなしで、盛り上がれるので...ぁ、あと最近暑いから涼しげなこと。  ...って、この条件ならあれしかないじゃん、  「あははっ、那智顔が怪しげだぞ。なんだよ、そんないい案でも思いついたのか?」  ちょうどその時、そんな那智の様子に気がついた近くの友人数名が話しかけてきた。  「おう!俺さ、お化け屋敷がやりたい!」  俺は笑顔でそう、はっきりと答えた。  「お化け屋敷?あ、それいいじゃん!」  「那智はそれがしたいの?なら、私もお化け屋敷に1票!」  「俺も那智の意見に1票いれるぜ!」  「私たちもー」  すると那智の声が思いの外、大きかったのかそれを聞いたクラスの友人たちは皆、同意する声を上げて言った。  自分の意見がすんなりとクラスで受け入れられ、嬉しくてガッツポーズをとる。  「えーと、それではアンケートをとろうと皆さんに紙を配りましたが...それは不必要みたいですね。今あがっているお化け屋敷という案。これでみなさん、よろしいでしょうか?」  再び委員長は教卓の前に立ち、そう問う。それに対しクラスのほとんどの人が賛成、と声を出した。  「わかりました。では2‐Aでの出し物はお化け屋敷ということで話を進めていきましょう。皆さんに配った紙は一応、予備の案として見たいので集めていきますね」  委員長はそういい皆の歓声が響く中、教室の中を回って紙を集めていく。そして委員長が那智のいる列にきて、後ろの方から集めてきた。  「お化け屋敷、頑張ろうね」  「あぁ!がんばろうな!」  委員長は那智の前で足を止め、にっこりと笑ってきた。  「はい、これ...――っ、!」    一言いい、紙を委員長の手元にもっていった時、たまたま那智は委員長が集めていた紙の、一番上のものに書かれている文字を見て驚いた。  「どうかした、那智?」  「ん?いや、なんでもない!ごめんごめん、」  慌てて委員長にそういい、なんとか自分を平常に戻した。    ―あの前にあった奴って、啓吾の...だよな、   見慣れた文字。右上がりの、少しクセのある...  でも、今の啓吾があんなこと書くか?  “那智と同じの”  たしかに、そう書いてあった。いや、でも委員長が集めた紙を上にではなく、下の方に重ねていってたら...俺がみたのは啓吾のものではないが、  ―だけどもし...もし今のが啓吾のなら、  「嬉しい、かも」  那智はある可能性が見えた気がした。  それは俺と啓吾がまた前のような関係に戻れるのでは、という可能性。  それをみつけた那智は小さな希望を実らせた。  それを啓吾が望まない可能性だとも知らずに。

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