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前日譚
どうして、こうなったのだろうか。
水溜りができるのでは、というほど床を涙で濡らし悲愴感に打ちひしがれる。
制服を脱がされ裸に近い格好をしたその姿は何をされた跡なのかを顕著に物語っていた。
痛むのは暴力を振るわれた脇腹や腹、頬だけではない。
— どうして、こんな目に合わなきゃいけないんだ。今までずっと、全てが順調だったのに。
顔が良く明るい性格が功を奏し、周りから持て囃され、ヒエラルキーで言う頂点に君臨していたその高校生活は順風満帆で非の打ち所がないほど充実していた。
常に彼女が傍にいて、親友やクラスメイトたちとバカやっては騒いで楽しんで...。
そんな当たり前だと思っていた生活はあることをきっかけにいとも簡単に崩れ始めた。
— どうしたら、よかったんだ。
過去を振り返るが、答えはみつからない。
だが、あの出会いがなければこんな風に苦しむことはなかったのかもしれない。
「湊...」
それは、忘れることのできない男の名前であった。
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