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第1話

 季節は春。自然界の生き物が春の暖かさで騒いでいる時、俺は1人教室の前で固まっていた。  理由は1つ。  目の当たりにしてしまったからだ...彼女の浮気現場を。  俺、児玉 那智(コダマ ナチ)は小さい頃からずっとモテていた。 幼稚園の頃も小学生の頃も中学生の頃も、とにかくずっとだ。  告白するのはいつも相手から。そして別れを告げるのはいつも那智。  -俺がフラれる?...そんなのありえない。  だがそんな生活をしていた那智もつい昨日、呆気なくフラれてしまった。  彼女の浮気現場を見てしまい、教室のドアの前で固まる俺に彼女は小走りに近づいてこう言ってきた。  『私ね本気になっちゃったから、那智...別れよう。』  別段、彼女のことが本気で好きだった、というわけでもなかったため別れること自体は何とも思わなかった。  重要なのは別れた理由だ。それが男絡みとくれば...那智のショックは壮絶なものでプライドは深く傷つけられる。  そして、傷ついた那智の怒りの矛先は...ーーー彼女を寝取った男にも向けられた。  名前は湊 琉依(ミナト ルイ)。女遊びで有名な男のことは那智も存在は知っていた。  胸に滞る苛立ちを晴らすため、那智は朝早くに学校に着くなりその男の元へ向かう。  廊下を数歩進んだ先にある隣のクラスが目的地だ。しかし...  「あ、彼女を俺に寝取られた児玉 那智君じゃない」  教室に向かうこともなく廊下に出た瞬間そう声を掛けられた。それは今しがた会いに行こうと思っていた男の声。  すぐさま那智はその声の方を向く。  「おはよう、モテ男君」  ニヤリとした笑みを含めてその男はこちらを見てきていた。その笑みその皮肉に那智の目つきは鋭いものとなる。  「で...出たな湊 琉依!ちょっと顔貸せ」    「はいはい、」  苛々としながらも湊の腕を掴むとグイッと強く引っ張っていった。

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