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第2話

 とりあえず、邪魔が入ることを防ぐために人気の少ない教室まで湊を連れていった。  その間も湊は何の抵抗も見せずにあっさりとついてきた。 そして会話もないまま空き教室に着き、俺は乱暴にドアを開け湊共々中へと入った。  「それで話って何」  端に寄せて片付けられていた椅子を1つ出し、腰をかけた湊はスマホをいじりながらそう、問うてきた。  そんな湊の舐めた様子に余計に腹が立ち、苛立った感情は溢れだすかのように俺の口から漏れ出す。  「何すっとぼけてるんだよ!さっき自分でも彼女を寝取ったって言ってたくせに!俺がどんだけ傷ついたと思って...」  「そんなの俺には関係ない。ってかあの後結局彼女と別れたらしいけど、それもお前のことは遊びだったからじゃないの?」  声を荒げている俺とは打って変わって湊は冷静にものを言ってくる。  「それを俺のせいにされても困るんだけど。先に誘ってきたのは向こうだし」  俺に反抗する隙も与えないままそう言い切られて、ついに那智は怒りで顔が真っ赤になり声にならない声を出した。  ― こいつ、開き直って謝りもしないのかよ!この、ヤリチン野郎!  ついに言い返そうと口を開けた瞬間、湊は急に立ち上がり、那智の肩を掴むとそのまま壁に押し付けてきた。  「っ!な、なんだよ!?」  強く掴まれた肩から手を払い除けようとしたが、相手の力が強く情けないことにどうすることもできなかった。  - 俺の男としてのプライドがことごとく打ち崩されていく...!重ね重ねこの野郎!  強く湊を睨みつけるが当の本人は何も気にしていない様子でこちらを見てきていた。  「そんなに俺のことがムカつく?」  「当たり前だろ!!」  「ふーん、じゃあ俺のこと殴りたいとかって思ってるの?」  「ああ!もう、ボッコボコに!」  「それは困る。俺、暴力反対だから」  「何が暴力反対だ!嘘を吐くのもほどほどにしろ!」  湊が暴力反対なんてふざけている。女絡みで相手の彼氏が出てきてそのまま殴り合いの喧嘩になったなんて話も聞くぐらいなのに。  正直言うと本気で喧嘩したら湊に圧倒的な差で負けるだろうということは分かっていただけに、できることは虚勢を張ることだけであった。  「嘘じゃないさ。暴力は好きじゃない。俺はちゃんと時と場合を選んでやっているさ」  「意味わかんねぇ、とにかく俺は殴る!一発殴らせろ!」  「嫌だよ。それに殴るなんてお前ができんのかよ。それより別の方法で解決しようぜ?」  そういい湊はぎゃーぎゃー騒ぐ那智のことも無視して何か考えだした。

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