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第35話

「良かったな、塁!」 「うん。ありがと……、ありがとう、真悟」  二人抱き合い、喜びを分かち合った。  温かい体。  伝わり響く心音。 「でさ、俺まだはっきり言ってなかったけど」 「ん?」 「付き合ってくれる? 塁」 「真悟」  うん、と頷き、もう一度彼の胸に顔を埋めた。  真悟は何度も頷きながら、塁の髪を撫でてくれた。  声を漏らさず嬉し涙を流す中、夜明けの気配がしていた。  明るい太陽の気配がしていた。

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