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第34話

「塁の飛ばしたザーメンは、真悟の腹まで届いたな」  初めて名を呼ばれ、塁は驚いた。  今まで『人間』としか言われていなかったのに。 「あの飛距離は、私の時より勢いがある。まぁ、その点だけは負けを認めてもよかろう」 「え!?」 「やった!」  じゃあ、と塁は唇を震わせた。 「塁は解放してやる。私のハーレムに加えるのは諦めよう」  もう、二度と会うこともあるまい、とナハトは笑いながら消えて行った。 「よ、かった……」  へなへなと、力の抜けた塁の身体を、真悟が抱き留めた。

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