33 / 35
第33話
「何とも暑苦しいセックスだ」
呆れた第三者の声に、二人はようやく思い出した。
そういえば、ヴァンパイヤが。
ナハトが一部始終を見ていたのだった!
「ど、どうだ。人間同士のエッチは。これが、人間の愛ってヤツだ!」
減らず口を叩く真悟の頬は、少し赤味を帯びている。
長ったらしい前戯。
心地悪く上昇する体温。
人間同士のセックスに、ナハトは辟易していた。
「私は、そういうセックスをしたいとは思わん」
だが、今まで見てきたどれよりも、塁は悦い表情をしていた。
死すべき運命を持つ人間の放つ、まぶしい表情をしていた。
ともだちにシェアしよう!