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第一章 求めるものは純白の羽
「ヴェルフェル様、今夜はどちらで夕餉を摂られますか?」
使い魔・ピキの声に、大悪魔ヴェルフェルは悠然と微笑んだ。
「そうだな。白の間にしよう」
ここは、魔界。
その中でも、広大な領地と莫大な魂の持ち数を誇る、大悪魔ヴェルフェル。
銀色の長い髪を揺らし、涼やかな目元を流す。
流麗な唇から紅い舌をのぞかせ、手にしたグラスを城の出窓へコトリと置いた。
しかし、ピキはそんな主に呆れた声をよこしてくる。
「また白の間ですかぁ? 趣味が悪いんだから、もう」
「お前はまだ、私の崇高な嗜好が理解できないのか?」
それ以上口答えをすると、強烈なお仕置きを喰らうので、ピキはそそくさと立ち去った。
「白の間。ふふふ、今宵も楽しむとするか」
ヴェルフェルは、グラスに満たされていたドラゴンの生き血を一気に飲み干した。
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