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第一章・2

 時が過ぎ、白の間。  ヴェルフェルは、わくわくとステッキをふるうと、この部屋に特別にしつらえた標本箱を展開させた。  壁も床も天井も、真っ白な部屋に出現する亜空間。  ヴェルフェルの魔力によって、創り出された特殊な空間だ。  そこに、数々の標本が浮かび上がる。 「虹色のモルフォの妖精、真珠の光沢をもつ怪鳥ハーピー、深紅の翼の不死鳥……。どうだ、美しいだろう」  うっとりと採集品を鑑賞するヴェルフェルは、どこか呆けた感さえある。  ヴェルフェルは、羽フェチだった。  美しい羽を持つものならば、妖精、怪物、精霊、妖魔、異彩構わず採集した。  そして、生きながらこの亜空間へ閉じ込めたのだ。  標本として。

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