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第一章・3

「ピキ、今日の肉は殊のほか美味い。シェフにそう伝えておくように」 「はいはい」  何だ、その言いようは。  ヴェルフェルは、おざなりな使い魔の口調にわずかばかり気分を害した。 「何か私に意見でも?」 「僕はただ、この部屋から早く出たいだけですよ」  何を言うかと思ったら。 「私の美学を未だ解さない、愚か者。さっさと出て行ってもよいのだぞ?」 「そうしたら、怒って呼び戻すでしょう?」  生きながら死んでいるものの浮かび上がる、悪趣味な白の間。  ピキは、主の食事が終わるのを今か今かと待っていた。  そして、あることに気づいたのだ。

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