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第一章・4
「ヴェルフェル様、この標本ですが」
「ようやく美に目覚めたか?」
「何か、足りないと思いませんか?」
足りない、だと?
「古今東西を駆け巡り収集した、私のコレクション。何の不足があろうか!」
投げつけられた白い大皿を受け止め、ピキは声を上げた。
「白! 白い羽がないんですよ、ヴェルフェル様!」
「白……、だと?」
ヴェルフェルは、急いで標本の数々に目をやった。
虹色、深紅、漆黒、空色、翡翠色……。
無い。
確かに、白い羽だけがない!
「うかつだった……」
ふらりと、ヴェルフェルは席を立った。
「ヴェルフェル様、お食事は!?」
「もう、要らぬ……」
ヴェルフェルはそのまま、寝室に入ってしまった。
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