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第三章・10
ぐちゅぐちゅと指を抜き差ししながら、比呂士はぼやいた。
「色気のない声だな」
では、これでどうだ。
指腹を、輪の腹側へ曲げて押し擦った。
「んぁあ! はぁ、あ! やっ、やッ、いやぁあ!」
「じき、悦くなる」
比呂士は根気強く、輪の前立腺を責め続けた。
指を二本に、三本に増やし、彼の体内を拓いていった。
「んぁ。はぁ、あ。はぁ、はぁ、あぁ……」
(何、これ。体が、熱い。何だか、ふわふわする……)
輪の固く握ったこぶしはいつしかシーツを掴んでおり、閉じていた瞼はうっすらと開いていた。
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