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第三章・9

 しかし一方で、比呂士は思いを巡らせていた。 (ここまで拒まれるとは思わなかった。少々、自信を無くしたぞ)  大抵の相手は、比呂士のキスで陥落する。  どんなに抗い、拒んだとしても、乳首責めの頃には甘い喘ぎを聴かせるようになったものだが。 「う、くぅッ! んっ、んっ、あぁあ!」 「もっと艶っぽく啼けんのか? これではまるで拷問だ」  もういい、と比呂士は次の段階に移った。  手のひらにローションを落とし、輪の蕾に塗り込めてゆく。 「ひぁっ! な、何を……」 「準備だ。ちゃんと慣らしてやるから、心配するな」  慣らす、って。 「あぁあ! ヤだぁあ!」  いきなり指を突っ込まれ、輪は悲鳴を上げた。

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