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第三章・12

 輪の最奥まで挿れきった比呂士は、彼の手を取り白い腹に乗せた。 「ほら、挿入ったぞ。解るな? ここまで来てるんだ」 「う、ぅう……。早く、抜いてください……」  何を言う、と比呂士は憮然とした。 「今からが、真に楽しいひとときなのだぞ?」  そう宣言すると、ゆっくりペニスを退いて行った。  内壁を摺り、神経を犯し、快楽を呼び覚ます、魔性の行為だ。 「あぁ、あ! ダメッ! それは、それはダメぇえ!」 「本当によく悲鳴を上げる奴だ」  気持ち悦くはないのか?  悦いなら、そのように正直に啼くといい。 (気持ち、悦い……?)  ぞくぞくする。  体が火照る。  腰が、浮いてくる。  そして……。 (また、奥まで欲しいって、僕、思ってる!)

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