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第28話
ひくひくと痙攣する廉の内から去るのは名残惜しかったが、巽は自身をそっと引き抜いた。
狭いソファの上で二人横たわり、互いの身体を撫でさすった。
「凄かったよ、巽」
「廉も、最高だったよ」
熱くて甘い吐息を絡め、そんな事を語り合った。
体の火照りが引いた時、巽は思い切って言ってみた。
「俺、廉のコーヒーが飲んでみたいな。淹れてくれる?」
「え……」
「お願い」
「……うん」
ジーンズを穿いて立ち上がり、廉はシャツをはだけたままキッチンへ向かった。
やがて、豆を挽く音が。
それと同時に、コーヒーの良い香りが室内に広がり始めた。
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