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第二章・4

「寒いな」 「あぁ、もう冬だ」  白い息を吐く優希を見ていると、寒さも忘れる。  体どころか胸までぽかぽかあったかくなってくる。 「な、優希」 「ん?」  長く伸びる、ポプラ並木。  葉はすでに落ち、冬支度の高い木だけがずらり整然と並んで立っている。  まだ朝も早いので、人の往来はほとんどない。  要人は、優希にいたずらっぽく笑顔を見せた。  こっちこっちと腕を取り、一本のポプラの陰にその身を潜めた。

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