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第二章・6

   腕を引かれるまま、ポプラの陰に二人で滑り込んだ。  そういえば、子どもの頃もこんなことをしていたような気がする。  そして要人は、秘密めかして何か新しいおもしろい宝物を見せてくれるのだ。 「ね、優希。ちょっと、眼を閉じて」 「一体何かな」  やはりそうか。  何か新しい、おもしろい宝物を僕に見せてくれるんだな。  そう思って、優希はそっと眼を閉じた。  ふと、気配を感じた。  顔にかかる、温かい息。  要人の近づく、気配。  は、と瞼を開くと、眼の前に要人の顔があった。  彼もまた、軽く眼を閉じこちらへ唇を近づけてくる。 「わ! 何だ!? ちょっと、待て!」 「え!? 優希?」  慌てて優希は、要人から一歩離れた。  ちょっと、待て。待ってくれ。そんな。いくらなんでも、そんな早すぎるだろう!?  眼を白黒させる優希に、要人は困ったような顔をしている。  いや、困るのはこちらの方なんだけど!?

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