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第二章・8

  「じゃあさ、優希。こうやって、大きく息を吐いて」  そう言って、要人は白い息を長く吐いた。  朝の冷たい空気の中、要人の吐く白い息は、かすかにミントの香りがした。 「こうか?」  優希は、言われるまま大きく息を吐いた。  冬の空気に、優希の体温が混じってゆく。  その優希の吐く白い息に、要人は自分の吐く白い息を重ねた。  二つの息が、混じってゆく。  二人の吐く息が、一つに重なる。 「要人ッ!?」 「ふふふ。これならいいだろ?」  優希は意外と奥手らしいや。  本当のキスは、しばらくおあずけ。  その代り、冬は毎日こうやって白い息を交わそう。  ほんの少し、二人の間の温度が上がった心地がした。

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