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第三章・2

 要人の実家はいわゆる名家で、広い敷地に時代がかった豪邸がどんと構えている。  だが、滅多なことでは子どもは自分の家に友達を招いたりはできない。  大人の社交場でもある邸宅に、騒がしい子どもは敬遠されていた。  優希は毛並の良い大人しい子どもだったので、何回かはその豪邸にお邪魔した事がある。  随分広い要人の部屋に、驚いた記憶がよみがえってきた。  そして勘のいい優希には、ピンときた。  これは、今まで付き合ってきた女たちとは別枠で自分を想っている、ということを示すための行動だ。  君は、君だけは特別。  そんな要人の心の声が、はっきり聞こえてきそうだ。

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