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第三章・3

 そしてその考え通り、要人は優希を特別に想っていた。  これまで付き合ってきた女の子たちとは、明らかに違うこと。  それは、自分の方から付き合ってほしい、と願い出たことだった。  これまでは、請われて何となくそのまま付き合ってきた。  自分を好きだと言ってくれる人がいる。  悪い子ではなさそうだし、まぁいいか。そんな風に考えては付き合い、別れを繰り返してきた。  だが、今度は違う。  自分が心から愛した相手と、請い願うままに付き合っているのだ。  これは要人も張り切らずにはいられなかった。 「な、いいだろ?」 「そうだな。じゃあ、お邪魔するかな」  そんな風に特別扱いされることは悪い気分ではなかったので、優希は静かに承諾した。  返事を聞いた要人は、やった! とこぶしを握って心底嬉しそうだ。

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