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第四章・2
目を丸くする優希に要人はにこりと笑った後、やっぱりね、と声をかけた。
「優希、今日は何の日でしょう?」
プレゼントを優希に手渡し、要人は歩きながら話を続けた。
「2月14日・バレンタインデーだ」
要人たちの通う学校では、あまり歓迎されていない風習だ。
もっともそれは、教師たちの間でだけの話だったが。
「バレンタインデーには、恋人同士でプレゼントを交換するだろう?」
男が男に、チョコレートを贈ってもいいと思うんだ、と要人は得意げに優希に話す。
「以前は宗教的な、真摯な意味合いもあったらしいけど。何だか、素敵な文化だよね。で、俺から優希へプレゼントを用意したってわけ」
にこにこと話す要人は、それを聞きながら優希が所在無げにもじもじしている様子を感じていた。
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