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第五章・17

 いつもとは逆に、自分が優希にどぎまぎさせられている。  そんな気持ちに勘付かれないよう、要人は平静を装って優希にぐいと顔を近づけた。 「負けると解ってる勝負を挑むのか?」 「君が勝ったら、この本をあげるよ」  は、と要人は目を丸くした。  優希が出したのは、今日買い損ねたあの本だったのだ。  思わず、苦笑いがこぼれる。  そんな要人に、優希が酔った眼差しを向けてくる。 「要人、忘れてたろう? この本は、小さい時に一緒に読んだよ」 「何もかも、お見通しなんだなぁ。解かった。受けて立とう!」  二人は顔を近づけて、プレッツェルの両端を咥えた。  互いに、少しアルコールの匂いを感じていた。

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