73 / 127

第六章 蜜柑【では優希くん。これから100回、俺のいう事をききなさい!】

 将棋でもしようか、という話になった。 「何? 流行に乗って、将棋盤買ったの?」  優希(ゆうき)は、少し茶化すような声を上げた。  まだ十代の若き棋士の大活躍で、将棋盤が飛ぶように売れている、という。  要人(かねと)もそれに習って、つい買ってしまったのか。 「いや、やってみると面白いよ。詰将棋なんか、特に」  二人とも、小学生の頃はよく将棋で遊んでいたものだ。  もちろんその時は、棋譜など知らずにやみくもに指していたが。

ともだちにシェアしよう!