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第六章 蜜柑【では優希くん。これから100回、俺のいう事をききなさい!】
将棋でもしようか、という話になった。
「何? 流行に乗って、将棋盤買ったの?」
優希(ゆうき)は、少し茶化すような声を上げた。
まだ十代の若き棋士の大活躍で、将棋盤が飛ぶように売れている、という。
要人(かねと)もそれに習って、つい買ってしまったのか。
「いや、やってみると面白いよ。詰将棋なんか、特に」
二人とも、小学生の頃はよく将棋で遊んでいたものだ。
もちろんその時は、棋譜など知らずにやみくもに指していたが。
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