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第七章・2
部屋中央に固めて設けられたシンプルなデスクの上には、それぞれに領収証の冊と黒インクのスタンプ台、そしてこれまたアナクロな木台ゴム印が。
前時代的、というよりお目にかかったこともない代物を使って、ただひたすらに領収書をめくり判を押す作業を、要人たちは強いられているのだ。
奇妙な内容だが、これでも立派な授業のプログラムである。
この部屋のどこかに、要人たちの一挙一動をくま無く拾い、録画しているカメラがある。
そして終了後に、その動画を元にしたエデュケーションを受けるのだ。
今のわずかな心の緩みも、機械は情け容赦なく記録しただろう。
かすかに動いた表情筋を、教官は情け容赦なく指摘するだろう。
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