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第七章・8
僕はショッキングピンクの鶴を折らされた、と溜息をつく優希。
要人は、可哀想にと言いながらも、つい笑っていた。
「優希にビビッドカラーかぁ。この際、イメチェンしてみたら? 何ならネコカフェはまた今度にして、ピンクの服を買いに……」
そこまでで、要人は優希に小突かれた。
それ以上言ってくれるな、と口を尖らせている優希。
その表情に、要人は思わず小さな声を上げていた。
「あ」
「何だ?」
「え~っと。言っても、怒らない?」
「言わなきゃ、怒るかどうか解からないよ」
きょろきょろと、周囲を窺う要人だ。
僕だけでなく、周りにも気を遣うような事なのか?
くだんの『猫cafe もふもふ亭』は、繁華街を抜けたところに開けた公園の番地内にある。
すでに雑多な人混みは抜け、公園に足を踏み入れたところだ。
平日の夕刻なので、あまり人影は見えなかった。
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