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「樹っ……ちょ……待てっ……」 「あっ、ごめん、こっちの方、もう辛いよね。ちゃんとこっちもしてあげなくちゃ」 「はっ? いや、そうじゃなくて……ぅあっ!」  ズボンの中に手を突っ込まれ、屹立したものを包み込まれた。  そのままゆっくりと上下に扱かれると、いよいよ訳が分からなくなった。 「ぁ……っ、いつき……そんな、ふうに……さわ……っ」 「え、ご、ごめん、気持ちよくない? こう? こんな感じ?」 「ぅあっ……やめっ…も、だめっ……」  早濡の俺は、あっけなくイってしまい、樹の掌に白濁の液を飛ばしてしまった。  はっ、はっ、と涙目で息継ぎをする俺の足からズボンを剥ぎ取った樹は、自らも衣類を脱ぎ捨てて全裸になる。樹の足の間は興奮状態にあって、竿の先が腹に付きそうなくらいだった。  あぁ、可愛い顔に似合わず立派な雄だな……とぼんやり思っていたら、樹の指先が俺の後孔の入り口に触れた。 「もらってもいいんだよね。嬉しい、璃都のここ、ヒクヒクしてて可愛い」 「やっ、そこはっ……だ、めぇ……っ!」  制止虚しく、指が二本ずぶずぶと埋め込まれていく。  そんな……  俺が樹にしてやる予定だったのに。 「わ、すごく柔らかい。璃都、ずっと入れてほしくて仕方なかったんだね。こんなに開くってことは、一人で弄ってたってことだよね。ちゃんと後で、俺の入れてあげるね」 「あっ……んっ、や、樹っ……」  柔らかいだと? そりゃそうだ。  だって俺は、樹を怪我させないようにと、自分の後孔に指を突っ込んで試していたのだから。前立腺の場所もばっちり分かってる。どんな風に指を動かせば感じるのか、色々と研究したんだ。  まぁそれで何度かイッちゃったんだけど! 「璃都、顔蕩けてるよ。ここ、今三本飲み込んでる。そろそろいいかな。俺の熱いやつ、奥までぶち込んであげるね」  こいつ、本当は樹じゃないだろ。  樹の皮をかぶった本物の狸だろ。  そうだ、じゃないと説明がつかない。  いつもは俺がいないと何も出来ないアホな樹が、こんなスパダリ野郎しか言わないような腰の碎けるセリフを言って、俺の後孔に屹立を当てがって、そして…… 「あっ、んあ、あぁぁ……ッ!」  ズズ、と乱暴に挿入されて、俺はまた欲望を吐き出した。  最奥まで樹のものが届くと、目の前に星が瞬く。  束の間、樹は汗を額に滲ませながらもにこりとし、腰を一旦引いて、もう一度奥まで突き上げた。  ぎし、ぎしとベッドが軋む。  だから何で……っ。 「ん、や、はぁっ……いつきっ……」 「ごめんっ痛い? こう? こうかな? あぁんもう、俺分かんないよ! こんな感じでいいのかなっ?」 「あっ、やめっ、んっ、んぁぁっ、俺またっ……イくぅ……!」  何でこんなに、上手なんだよ……っ⁈  * * * 「中で出すんじゃねぇよ……」  風呂場で中のものを掻き出してきた俺は、全裸でベッドに寝転がる樹を睨んだ。  樹は俺を散々イかせまくって、自身も二、三回、俺の中に白濁をぶちまけた。  用意しておいたコンドームをサッと手に取り、バックにしまう。  いろいろと、カルチャーショックを受けた。  俺がまさか、樹に入れられただなんて。 「あれっ、これ裏表逆だったー。あはは」  樹はボクサーパンツを身につけたが、裏返しになっていたのに気づかずに履いたようで俺に見せつけてくる。  元の樹に戻った……。  ホッとしたのも束の間、俺は今一度樹に確認を取った。 「お前、セックスすんの本当に初めてだったんだよな?」 「む、璃都、まだ信じてないの? どうしたらいいのか分かんないよって、してる最中に俺何度も言ってたじゃん」  確かに言っていたが……俺の弱い所を刺激してめちゃくちゃ気持ち良かったんですけど。   「樹も、セックスの勉強してくれてたのか?」 「えっ、するわけないじゃん。ていうか璃都はしてたの? へんた〜い」  くそ、何なんだこいつは。  いつもの天然は演技なのか? エロモードの樹が本物なのか?  答えは藪の中であるが、しかし俺の心と体は、充実感で満たされていた。  今日は人生で最高の誕生日になった。  出会って六年。  まだまだ樹の新たな一面を見てみたい。 「おしり、ヒリヒリする?」 「いや、大丈夫。樹、キスして」 「ん」  唇を重ねると、幸福感に包まれる。  こいつのためだったら、何でもしてやりたいな。  なんせ俺は、こいつのお世話係兼恋人なんだから。  *end*

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