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第6話 夢魔たちの休日・9

 前々から思ってたんだけど、と天和が続けた。 「種取るのって元は女の仕事だったんだろ。それをお前が請け負ってるなら、どう考えても挿れるより挿れられる側だろうが」 「で、でもサバラは『抱く側』なのに種取ってるんだよ。おれ達はサキュバスと違って種取るのに特別な器を用意してるから、どっちがどっちとか、あんまり関係ないし……」 「どっちでもいいならますますネコなんだろうよ」 「ええぇ……?」  全然考えたことなかった。あまりの衝撃で目がぐるぐる回ってしまう。 「ほ、ほたるは? じゃあ、ほたるは何でネコなの?」 「か、勝手に決めつけんなよ!」 「炎樽がネコなのは、俺がタチだからだ」 「決めつけんなってば!」  真っ赤になった炎樽も俺と同じように目を回している。 「とにかくお前は男の夢魔という思い込みで損してるタイプだ。今度風俗行ったらタチ専の奴にじっくり開発してもらえ」 「………」  その夜。俺は再びサバラの家に行って、逃げ帰ってしまったことを謝った。 「ごめんなさい」 「全く、お前が突然チビになるからあの後大変だったんだぞ。あの場の全員を眠らせて夢ということにしておいたが……」 「……ごめんね」 「チビの姿で謝られると、俺の方が悪者になった気分になる。さっさと元の姿に戻れ」 「は、はい」  正座したまま元の姿に戻った俺は、あの後天和に言われたことを思い切って相談してみることにした。  サバラはいつもの見下した顔で、実際にソファから俺を見下ろしつつ聞いていたが…… 「自分で自分の性癖を理解してなかったのか?」 「あ、あんま考えたことない。インキュバスってそもそも、タチだけだと思ってたから……」 「……はぁ。どこまで俺を呆れさせるんだ、お前は」  そう言われても、教えてもらってないことを知らないのは仕方ない。それに経験がないから自分が「どっち」かなんて考える機会もなかったし。 皆、どのタイミングで自分の性癖を理解するんだろう? 「で、でもさ。今日一緒に喋った雪那は、ネコの子なんだろ。スフレちゃんに似てたから指名したけど、……ていうことは、その子を選んだ俺はタチってことになるんじゃ……」 「マカロ。良いことを一つ教えてやろう」 「な、なに?」 「雪那は知らないが、スフレはタチだぞ」 「う、ううう、うそっ! だってサバラ、スフレちゃんのこと俺から奪って……!」 「俺はチョコとタフィーを寝取った記憶はあるが、スフレとは二人きりで話したこともない。大方、タチの主導権を握ろうとギンギンになっていたお前から上手く逃げるための口実で俺を利用したんだろう。見た目や言動に惑わされているようじゃ、一生落ちこぼれだな」  俺は両手を床につき、うなだれた。

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