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第7話

ホームルームが終わった後ザワザワとざわめく教室。 皆部活で汗流すために部着に着替える奴らや、速攻で帰宅していくオタク。 色んな奴が居る中で俺はスマホの電源を入れるとメッセージアプリを開いた。 『伊坂、後でこっちのクラス来い。一緒に帰る』 まだまだ慣れそうにもないちまちまとした手つきで文字を打つ。 しかし五分経ってもそのメッセージに既読がつくことは無い。 ―――既読が遅い。遅すぎる。 なんだあの野郎、通知もなんも着けてねぇのか? まぁ好きでもないヤツなんかどうでもいいとは思うが、だからって俺達は今は恋人。 『ぶっ殺す……。』 『うわ、ライ殺意たっか。どしたの?』 いきなり現れた下田が、ボソッと八割本気の俺の独り言を聞き取ってきて、興味津々に俺の席の後ろの誰かの椅子に座り出した。 俺から見たらこいつはただのバカだけど、やっぱりジャラジャラのピアスと短髪の髪染めのせいで怖く感じる奴が多いらしい。 現に後ろで固まってるヤツらの一人が、きっと下田が今座ってる席の所有者みたいだが、その男の顔は既に青ざめていてこの席を奪い返す気は無さそうだった。 『なぁなぁ?ライどうしたんだよ。お前まさかもう付き合ったとか〜…』『付き合った。』 『マジで!?』 教室中に下田の馬鹿みたいにうるさい声が響き渡る。 『うるせぇ黙れ』『ぶぁへっ"』 ベチンと下田の頭を黙らせるために軽く殴った。 半泣きになる下田は無視すると、ポンっとLINEの通知音が鳴る。 『了解。廊下で待ってるわ』 速攻で返事を読んだ俺は、少しほっとした感覚で適当にスタンプを返すとスマホを閉じた。 目の前から謎の視線を感じて、顔を前にふと向ける。 すると下田がにまにまと笑顔でこっちを見ていた。 『なんだよ。』 『今のって彼女から?めっちゃ嬉しそうで俺ビビったんだけど。』 『別に嬉しくはねぇよ。むしろ不満しか無い』 『は、どゆこと喧嘩?』 『喧嘩なわけあるか。アイツ別に俺の事好きじゃねぇからクソなんだよ。』 そう顔を歪ませながら吐き捨てると、下田は逆にぱちくりと目を輝き出す。 『え好きじゃないって、いやなんで付き合ってんだ? …ていうか、お前が愛されないって悩むんだ…。』 『はぁ?』 『やっば、俺その恋愛応援してんね!』 意味分からない事を言い出した下田は、満足気な様子で今からダチ達とゲーセン行くからと教室からあっさり出ていった。

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