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俺と生涯を共に。

「全くみっともない!」 「す、すみません……」 「まぁまぁ父さん。おめでたい席だから」 「主役はうちらやったはずやのに、なんか全部遥くんらに持っていかれたねぇ」 正さんに叱られ、 薫さんが宥めてくれ、 華さんにぼやかれた。 一斉におめでとうと言われ、引っ込んだはずの涙がまた溢れる。 遥さんと並び深く頭を下げ、長い事そうしていた。 肩を叩かれ頭を上げると、もうそこには遥さんだけ。 「驚かせてごめん」 照れ臭そうな遥さんを引き寄せかき抱いた。 忙しく準備する中で俺との結婚式まで考えてくれていたなんて。 「ありがとうございます…」 「こっちこそありがとう」 背中に回される手が熱い。 それが確かに現実だとまた教えてくれる。 「誓ったからな」 「え?」 「生涯お互いだけって誓っただろ?」 「はい」 だから。 遥さんの顔が首筋に擦り寄せられる。 「どっちかが骨になるまで抱っこしとけよ…」 「はい…」 遥さん。 俺はきっと生まれ変わってもあなたを探し、同性じゃなくてもまたあなたを愛します。 ずっとずっと続いていく。 俺のこの思いは世界が終わるまで続いていくんです。 「何それ、怖っ」 「だから安心して下さい。ずっとずっと抱っこするし、仲良ししましょう」 「………はい」 変わるもの。 変わらないもの。 変わることは悪いことじゃない。 変わらないことが良いことじゃないこともある。 俺たちは俺たちなりの尺度でこれからも過ごしていけばいい。 俺がこれからもあなたを愛していくことは変わらないのだから。 高い高い晴れた空。 あなたと見られて幸せです。 「帰ろ」 「はい」 遥さんが俺のネクタイを引く。 重なる唇の予感に頬が緩む。 続きは帰ってからのお楽しみ、ですね。 完

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