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第22話
2月14日、バレンタインデー。
『期待してるからな』
綜大の言葉を思い出しながら、葵は昨晩トリュフを作った。
期待に応えられるかは解らないが、一応手作りだ。殴られはしないだろう。
もしかして今日も学校は休むかもしれないが、その時は。
「その時は、アパートに持っていってみようかな」
そんな風に考える自分に、戸惑った。
行けば必ず犯される。
それでも、綜大のいない日常には妙な違和感があった。
「寂しい、とかじゃないから」
自分で自分に強がりを言ってみたが、心の隙間は埋まらない。
やはり今日も、綜大は欠席だった。
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