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第30話

 二人とも裸で抱き合うのは、初めてだ。  思えば今まで、自分の勝手を葵にばかり押し付けてきた。  綜大は少し反省しながら、この恋人に肌を擦り付けた。  滑らかな素肌の感触が心地よく、何度も何度も絡み合った。 「あ、ぅん……」  小さな声を立てた葵は、今までで一番悩まし気な表情をしている。  先漏れの体液で葵を汚しながら、綜大は手探りでローションをつかんだ。  ぐにゅり、とたっぷりひねり出し、葵の後膣と自分のペニスに塗りたくった。 「挿れるぞ」  葵はこれまでにないゆとりと期待を持って、綜大を受け入れた。  そう。僕はもう、性奴隷なんかじゃない。  綜大の恋人なんだ。  愛しい人を待つこの瞬間の、なんと甘美なことか。  硬い先端がぐちりと挿入り、長く太いペニスが体内に押し入れられてきた。 「あ、あぁ、あ!」  一つになった。  僕と綜大が、一つに。  ようやく、一つになれたんだ。  これが、本当のセックス。  初めて葵は、その悦びを噛みしめていた。

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