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第15話
「うまいよ、伊吹」
「ありがとうございます、森先輩」
さりげなくお茶を差し出す、忍だ。
(ポイント、上がったかな?)
正直、俊介がいなければ張り切っておはぎなど作らない。
いや、もっと言えば、この高校にも進学しなかったし、文芸部にも入部しなかった。
忍は、とにかく俊介一心でここまできたのだ。
そして、焦ってもいた。
俊介は3年生、忍は1年生。
一緒にいられる時間は、わずか1年しかない。
先輩が卒業するまでに、告白したい。
それが忍の願いだった。
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