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第17話
「森先輩、ゼッケンをホチキスで留めてるんですか!?」
「ああ、縫い付けるの面倒くさいから……」
「貸してください。僕が縫ってあげます!」
俊介の体操服を剥ぎ取り、忍はていねいに、だが素早くゼッケンを縫い付け始めた。
「巧いなぁ」
「得意だし、好きなんです」
はい、できた、と忍が俊介に体操服を返すまでに、ものの5分とかからなかった。
「ありがとう」
「どういたしまして」
(ポイント、上がったかな?)
着々と俊介の好意を上昇させてゆく、忍。
春が終わる頃には、『森先輩』から『俊介先輩』へと呼び方も変わっていた。
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