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第19話
「先輩、もう答えは出てるんじゃないですか?」
「え?」
「進学して、もっと文学を勉強したい。そうじゃないんですか?」
「う……ん……」
自分の気持ちに素直にならないと、後できっと後悔する。
そう、忍はアドバイスした。
「学費のことを気に病むのなら、卒業して働くようになってからご家族に返せばいいと思います」
「そういう方法もあるな」
「人生、もっと広い視野で考えましょう」
「何だか伊吹のほうがしっかりしてるな。まだ1年生なのに」
俊介の相談相手になれるほど、二人の仲は親密になっていた。
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