20 / 35
第20話
進学に照準を絞った俊介は、猛然と勉強を始めた。
大好きな執筆活動も滞り、秋の文化祭に出版する同人誌への寄稿も怪しいくらいだ。
「こんなことなら、留年しましょう、ってアドバイスするんでした」
「物騒なこと言うなよ、伊吹」
「あ、俊介先輩。そこに代入するのは3Xじゃなくって、4Yです」
「そ、そうか」
俊介は、受験勉強すら忍の世話になっていた。
「偏差値80って、化け物だぞ」
何でそんなに頭がいいのに、こんな普通校に来たんだ?
そんな俊介の疑問も、笑って受け流す忍。
(俊介先輩がいるからです、って、いつ言おう)
「先輩、このプリントが済んだら、お祭りに行きませんか?」
「神社の夏祭りか。いいな!」
たまには息抜きも必要、と俊介は残りの問題を必死で片づけた。
ともだちにシェアしよう!