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5-3
止められたコンロの火。
「ちょ、やめろっ……んな、されたら……とれんだろぉが……ッ」
流し台の前で制服シャツをこれでもかとたくし上げられて、岬は、魘されているみたいに非力に足掻く。
天井の室内灯に照らし出された褐色胸。
ぷるんと控え目に艶めく乳首が後ろから伸ばされた志摩の五指に容赦なく捏ね繰り回される。
ぐにぐにと左右上下に引っ張られては、側面を緩々としごかれ、さらにかたく膨れ上がるようヤラシク刺激される。
「乳首がとれるのか?」
下唇を唾液でびちょ濡れにして情けない表情を浮かべる岬に、志摩は、すぐ背後から問いかけた。
「と、とれる……引っこ抜ける……」
「ふっ……」
「ッ、耳元で笑うんじゃねぇッ……これぇ……強ぇってば……」
「強い? 痛いのか? じゃあこれくらいなら?」
志摩は絶妙な力加減で岬の両乳首をキュッと摘まみ上げた。
さり気なく備わっている腹筋をゾクリと震わせて岬は胸を反らす。
咄嗟に志摩の両手首を掴み、しかし引き剥がそうとはせず、切なくむず痒い心地に陶然と身悶えた。
「はっ……ぁ……」
「ほら、お前の、悦んでる」
「あ……?」
ベルトを外されて足元にストンと落ちた制服ズボン。
汚れないようずり下ろされたボクサーパンツ。
あろうことかキッチンで露出された童貞ペニスがピクピクと勇ましく反り返っていた。
「うう……飯作る場所でこんなこと……非常識だ」
「そうだな。こんな非常識な行為に悦んで興奮してる不届き者は不謹慎極まりないな」
「っ……あっ、あっ、あっ、っ、待っ……!」
ペニスと同様、欲深げに勃起してきた乳首を器用な指遣いでたんまりつねられ、くすぐられ、解されて、岬は堪らず小さな悲鳴を上げた。
「やっ……濡れ、る……」
胸元にばかり構っていた志摩はおもむろに片手を移動させる。
腹につきそうなほど屹立しているインサバスの熱源、浅ましげに濡れ出した先端をクチュクチュと愛撫した。
「本当だ。お前の、濡れてる」
「あっ……く……」
「こんなにすぐ糸引かせて。いつも思うけど簡単に濡れやすい体してるんだな」
「ッ……ッ……テメェなぁっ……今までどんな風に恋人抱いてきたんだよ!?」
思いも寄らなかった質問に志摩はひっそりと笑みを浮かべた。
「ちゃんと避妊を心がけて抱いてきたよ」
「……センセェ……ほんとにインキュバス筋なのかよ……」
「そもそも。ヒトを身籠らせたい淫魔の本能は元来薄れてきてるし、俺の中では死に絶えた。結婚を考えていない相手が妊娠したら、それを考えたら勃つどころじゃない」
「……デートとか、は……」
「デート? あんまり興味ないな。セックスを長引かせるのも好きじゃない。他人の気配があったら寝れないし、添い寝なんてもっての外だな」
「……ひでぇ……」
会話の間も発熱する昂ぶりを撫で続けた掌。
従順に蕩け出した淫唇の発情を察しながらも、わざとらしく無視し、みるみる膨張していくペニスをヒイキしてこれみよがしに構った。
「反抗期ちゃんは恋人とかつくらないの」
丹念な愛撫に意識が朦朧としかかっていた岬は……たちまち仏頂面になった。
「こんな体、どこの誰が受け付けてくれんだよ……レセシブの奴らだってどうしてんだよ? ふつーの奴が見たら完全ヒくだろ、こんな、ちぐはぐな体……」
快楽と自己嫌悪の板挟みになって呻く岬の耳元で志摩は囁く。
「こんな魅力的な体、そうそうない」
純潔とは思えないご立派な童貞ペニスをしっかりしごきながら、もう片方の手も股座へ移動させ、すでに愛液に浸かり始めていたクリトリスを指腹でねっとりなぞった。
「あ」
「どこもかしこも構ってやりたくなる」
あっという間にぬるぬるになった亀頭を掌で満遍なく撫で擦り、双球の陰で膨れ勃つ肉芽をムニ、ムニ、小刻みに摘まんだ。
「あ、あ、ん、ン」
「誰よりも可愛がり甲斐があると思う」
「ちょ、待っ……ぁ……っ」
雄々しく勃ち上がる熱源、一方で柔らかく蕩ける淫唇に潜り込んでいった志摩の中指。
肉びらを割られ、秘められた膣孔を抉じ開けられ、そっと貫かれる。
支えが足りない岬はシンクの縁を掴んだ。
「でも。早漏は嫌われるかもな」
「このッ……」
吊り目に悔しげに涙を溜めた岬は言いたい放題の志摩に言い返そうとしたが。
目一杯、ペニスをしごき立てられながら嗜虐的な中指にヴァギナを掻き回されて、代わりに嬌声が。
「やっ……ぁ……」
……きもちいい。
……センセェ、志摩センセェ、もっと。
「い、く……ッ」
「もう? どっちで?」
「わかんなッ……いくッ……あ、っ、ぁっ、んっ、んっ……あぁぁあ……っ……!」
一思いに熱源から解放されたスペルマは志摩の利き手に受け止められて。
腰から下をガクガクと痙攣させ、岬は、流し台のシンクに突っ伏した。
「はぁっ……はぁっ……っ……ん……?」
ぬるり
片頬に何か塗りつけられて億劫そうに瞬きした。
次に、緩んでいた口に志摩の利き手の指が押し当てられて、まさかの味わいに戸惑った。
「自分の味、どんな?」
あっけらかんと問いかけ、覗き込んできた志摩と視線が重なる。
苦いのに、マズイのに。
彼の指による餌付けだと案外悪くない味だと自惚れてしまいそうになる……。
「今日は誕生日だし」
シンクの縁に力なくしがみつき、絶頂の余韻で吊り目をとろんとさせ、促されるがまま自分の指をペロペロしている岬に志摩はとっておきのプレゼントを。
「今までやったことない特別なこと、してみようか」
は……?
それって……?
とうとう志摩センセェと本番……かよ?
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