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0-ふたりは淫魔-パラレル番外編タメver.

「今、何て言ったの」 その日は一学期の終業式だった。 「俺の聞き間違えかな」 クラスメートの志摩に淡々と問いかけられて岬は口ごもる。 クーラーを点けたばかりで蒸し暑い部屋。 外からは土砂降りの雨音が聞こえてくる。 父親兼母親の百合也は自身がオーナーを務めるクラブ「アウェイク」の事務所に泊まり込んでおり、自宅マンションには岬と志摩の二人しかいなかった。 数分前に部屋に招いたばかりのクラスメートが外へ出て行こうとするのを引き留めようと、岬は。 『俺がセフレの代わりになってやるから、どこにも行くんじゃねぇよ、志摩』 何もかも純潔まっしぐらの身でありながら、ついつい、大胆発言をブチかましたのだった……。 岬は淫魔筋だった。 淫夢魔と呼ばれる、ヒトとは異なる者の血を継いでいた。 しかもレア中のレアに値するインサバス。 インキュバスの血を継ぐ父親、サキュバスの血を継ぐ母親を両親に持ち、オスとメスの性機能を兼ね備えた両性具有者だった。 「あいつってヤリチンっぽいよな」 両性具有といっても乳房はない、男体がベースとなっていて、傍から見ても男にしか見えない。 しかも褐色肌に白アッシュ髪という派手な外見のせいか、高校入学当時は一部の同級生から「ヤリチン」呼ばわりされることが多々あった。 前も後ろも唇すら純潔をキープしている岬は訂正するのも面倒くさく、その手の中傷は放置していた。 その一方で。 「あいつって根暗だよな」 黒髪に黒縁眼鏡、教室に特定の友達不在で単独行動が板についていた志摩は一部の同級生から「根暗」「地味」「目が死んでる」と好き勝手に揶揄されていた。 何を隠そう志摩こそが「ヤリチン」だったのだが。 そして彼もまた淫魔の血を引いていた。 インキュバス筋の志摩は「とめどなき淫欲」に下半身を蝕まれ、中学時代半ば頃から不特定多数のセフレと爛れた関係を持つようになっていた。 岬と志摩は二年生に進級して同じクラスになった。 「お前、淫魔の血を継いでるだろ」 休み時間の教室、藪から棒に志摩に言われて、志摩が同種だとまるで気づいていなかった岬はてんぱった余り……その場で志摩を殴った。 「うっわ、ヤリチンが地味ヤロー殴った、こっわ」 初めて学校で正体を言い当てられ、神経が逆撫でされた岬は、それまでスルーしていた中傷に面と向かって……反撃した。 「誰がヤリチンだゴラァーーーー!!」

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