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最終話

「岬も動いてみて」 「わ、わかんねぇ……」 「適当でいい。自分のイイトコに当たるよう動けばいい」 「……イイトコばっかで絞れねぇ」 「……なんでそう煽るかな」 キスをしながら飽き足りずに繋がり続ける二人。 「あ……ぁん……すげ、ぇ……ぃぃ……」 岬は食まれたばかりの下唇をジンジンさせて天井を仰いだ。 志摩の肩を両手で掴み、初めてにしては滑らかな腰遣いでスタミナ漲る逞しい肉杭を一生懸命もてなした。 「上手」 志摩はヤンキー淫魔の律動を補佐してやる。 褐色の尻丘に両手を添え、時に自らも動いて、交わりをより深く濃厚にした。 「はぅ……志摩……志摩ぁ……」 もうすっかり蕩け落ちている吊り目を上目遣いに見、控え目に色づく胸の突起を美味しそうに舐め上げ、恥ずかしげもなくむしゃぶりついた。 「ひ、ぃ、ん……っ……っ」 「お前のペニス、おもらしでもしたみたいに濡れてる」 「っ……してねぇっ……おもらしなんか……してねぇもん……っ」 こどもっぽさが増している岬が可愛くて仕方なく、志摩は、巧みに腰を上下させながら問いかけてみた。 「岬、俺のこと好き?」 物欲しげに疼きっぱなしの蜜孔をグチュグチュと突き上げられ、純潔ペニスから白濁をだらしなく垂らした岬は、志摩をぼんやり見下ろした。 「好き……一番、好き……しゅんげぇ好き……」 「……」 「あぅ……また、でっかくなった……?」 「俺が恋人になって嬉しい?」 「うれひぃ……志摩ぁ……好き……」 岬に頬擦りされて、志摩は、そのまま欲望に従った。 加速した末に再びインサバスの蜜孔に勢いさめやらない熱流を注ぎ込んだ。 「……岬、まだ、もっと……」 これまでに感じたことのない極上の恍惚に(かしず)く。 胎底でしぶとく燻る肉杭に息も絶え絶えな岬を掻き抱き、興奮するのと同時に安心する居場所に志摩は延々と甘えた。 いつの間にか遠退いていた雷鳴。 途絶えた雨音。 レースカーテンの向こうで瑞々しい夕焼けに街が浸食されていく。 「はい、どうぞ」 西日と宵闇が隣り合い、三日月が地平線に引っ掛かる頃、枕に俯せていた岬はもぞりと顔を上げる。 一旦、ベッドを離れ、間もなくして戻ってきた志摩。 その手には絵に描いたような小さなプレゼントの箱が。 「……こんなのリアルで初めて見た、正方形の箱に赤いリボン……」 冷房をガンガンに効かせた部屋、羽布団に包まった素っ裸の岬は掠れた声で呟いた。 「プレゼント用意してたのかよ」 ボクサーパンツのみ履いた志摩はヤンキー淫魔の隣に潜り込む。 枕元に置いたプレゼントをただまじまじと凝視するだけ、リボンすら解こうとしないので、尋ねた。 「開けないの」 「なぁ、志摩の誕生日っていつだよ」 「俺は十一月」 「ふぅん。そんときに開けよーかな」 ラッピングされた小さな箱を両手で大事そうに包み込み、岬は、くすぐったそうに照れ笑いを浮かべた。 「もったいなくて開けらんねぇ」 懲りずに無意識に自分を煽ってくるヤンキー淫魔に眼鏡淫魔の心臓(ハート)は蕩けた。 初めての恋を捧げたクラスメートに何の迷いもなく告げた。 「大好き」 いつも通り、淡々とした口調ながらも思いも寄らなかった直球の告白、岬は衝撃の余りプレゼントをあわや握り潰しそうになった……。 ()(かれ)の逢魔が時。 ヒトと魔が擦れ違う宵の片隅で、淫魔の二人は笑い合って(つが)うのだった。 end

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