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第141話
今、俺の腕の中でぐっすり眠る芳村を抱きしめ、芳村の頭に顎を宛て静まり返った部屋の中にスースー…芳村の寝息を聞いて居た。
「今日一日で、色々合って疲れたよな」
芳村はベットに横になると欠伸が出始めた。
「明日も学校だろ?もう寝ろよ」
「う…ん。……龍臣と…話しもした…いけど……ごめ…ん……限界…」と言って、直ぐに目を閉じた。
芳村とこうして一緒に過ごす事に安心してる俺と同じ気持ちで居るんだろうな。
寝顔が穏やかで…そして離れないと意思表示のように、俺の背中に手を回し抱き着いてる。
芳村は色々合って精神的にも肉体的にも疲れ果て眠りに就いたが…俺は嬉しさと心も体も高揚してなかなか寝付け無かった。
本当に諦め無くて良かった…いや、諦めるつもりもなかったが……それは俺の方だけで肝心の芳村の気持ちが頑なだったら…今頃、どうなってたか?そう思うと、この俺の腕の中に居る芳村が愛おしい。
俺の一目惚れから始まり色々合ったが、結果的には俺と相思相愛になりこうやって居る。
芳村も色々俺の将来の事で悩み迷ったようだが、俺も散々悩まされた。
これから先もこう言う事は必ずある。
今回の事を教訓に俺はもっと大人になり、芳村が何でも話せる頼り甲斐のある男になる‼︎
年齢の差は埋められないが、歳下でも年齢なんか関係ないくらいの心も懐も広い男になれば良い話しだ。
たぶん、芳村は自分の事より俺の事で悩んだり迷ったりするんだろう……そう言う奴だ!
芳村に悩ませるような男では、まだまだ俺が理想とする男じゃないな。
まだ、芳村から見れば歳下で生徒と言うのは暫くは抜けないのかも知れねーが、大学生になり2年先か3年先には、それなりの男になる‼︎
そして更に5年先か10年先には、芳村にとって無くてはならない存在でありたい‼︎
焦る必要は無い!
やっと芳村を手に入れたんだ!
これからの俺の成長を側で見て居て欲しい‼︎
まだまだ俺達には時間が充分にあるんだからな。
時には一緒に悩み.時には叱られ.そして喧嘩もするかも知れねーが……色々あっても、今日みたいに最後にはお互い笑って隣に居たい。
必ず幸せにして見せる‼︎
歳下で男で……それでも俺を選んだ事を後悔はさせない‼︎
大切な人ができると人間は変われるし強くなれる‼︎
そして守っていき……愛し抜く‼︎
それが俺の愛し方だ。
自分が成すべき事が見えると、やっと俺も眠気が襲ってきた。
これからは誰になんて言われようと…いや、言わせやしないが……もう気兼ねなく、こうやって居られるんだな。
そう思うと、穏やかな気持ちと幸せな気持ちに満たされた。
この気持ちのまま眠ろう‼︎
凄く良い夢が見られそうだ。
ずっとずっと先の将来も、芳村に叱られ俺が拗ねて……でも最後には、必ず芳村は俺を宥めやる気を出させてくれる……俺は芳村の手の平で転がされてるんだろうな……そんな夢だな。
芳村は表立っては俺を立て、そしてさり気なく導く……それもありだな!
喧嘩して泣いて拗ねて怒って…笑う…俺達なりの付き合い方で良いんだ。
お互い無理する必要なんて無い。
大切なのは、お互いがいつも側に居る事だ‼︎
もう2度と離さない‼︎
目の前にある芳村の頭の天辺に誓いのキスをした
チュッ!
「幸せにする‼︎……俺を選んだ事を後悔させない‼︎ 愛してる」
俺の独り言が聞こえたのか?
夢を見てるのか?
「…んぅ…龍臣…」
俺の名前を呼び、またスースー…寝息を立てた。
そんな芳村に俺は笑みが広かった。
明日の朝には、俺の腕の中で眠りから覚めた芳村を朝1番で見られるのを楽しみに、俺も目を閉じギュッと芳村の温かい体を抱きしめた。
~ fin ~
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