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第一章 昴様もお休みになられますか? 御一緒に

 乗馬をやってみたいな、と藤原 昴(ふじわら すばる)は考えていた。  藤原家の子息たるもの、乗馬くらいできなくては。  風を切って走る馬は、とても美しい。  それを駆る自分を想像して、頬を緩める。  昴は美しいものが好きだったし、美しい自分も大好きなのだ。  馬場で馬丁に世話されている馬を眺めた後、放牧場へと足を運んでみた。  馬の匂いは苦手だ。  あれを我慢して馬に跨るか、それとも走る馬を眺めるだけにしておくか。  これは考えるところだ、と物思いに耽りながら、牧草を食む馬を眺めていた。  二頭寄り添う、大きな馬と小さな馬。  親子だろう。

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