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第一章・36

「駆けます!」  返事はせずに、暁斗は馬を走らせた。 「ぅわぁ! すごい、すごい!」  景色が飛ぶ、地を蹴る衝撃を体に受ける、風を切って駆ける、この爽快感。 「柏!」 「はい!」 「暁斗!」 「はい!」 「暁斗ッ!」 「はいッ!」  馬上の二人だけにしか聞こえない叫びは、風に乗ってたちまちのうちに消えていく。  しかし、互いを呼び合う気持ちのつながりは、決して簡単には消えないのだろうな、と二人は確かに感じていた。  

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