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第一章・35

 馬丁たちが、やんやと囃したてる。 「行ってらっしゃいませ!」 「うん。放牧場を一回りしたら戻る」  暁斗の前に座る、昴。  蹄の音とともに、振動が体に伝わってくる。  跨いだ脚に、馬の体温が伝わってくる。  その動きも熱も心地よく、昴は晴れやかな気持ちになった。 「ねぇ、柏」 「はい」  後ろを振り仰ぎ、昴は手綱を取る暁斗に声をかけた。 「続きは、いつ教えてくれるのかな」 「続き、とは」 「昨夜の、つ・づ・き。教えてくれるんだろう? 楽しみにしてるよ」 「な……ッ!?」  みるみる赤く染まってゆく暁斗の顔。  あぁ、愉快だ。ようやく彼を凹ませてやった!

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