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第二章・2

 そう言えば、他人にあれほど素肌に触れられたのは初めてだ。  昴は、人に触られることが嫌いだった。  体に触れられるのは不快だ。  美しい僕のこの体が、何を触ったか解からない手で汚されることは我慢ならない。  清潔そうな人間にも、心の醜い者は大勢いる。  そのような、汚らわしい者どもに触られることは、プライドが許さなかった。  だけど。  暁斗には、あんなに簡単に許してしまった。  肌に触られるだけではない。  キスをしながら、舌で咥内を舐めまわされた。  性器にまで触れられた。  あろうことか、後膣から指を入れられ、その体内まで探られたのだ。  それを思い返し、昴は愕然とした。  かっ、と頬が赤くなる。  両の手で頬を包むと、バラの香気にむせかえる。  あの、節張った長い指。広い掌。  あの手が、この僕の肌を自由に弄んだ。

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