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第二章・14

 は、と昴は自分の唇を指先でなぞった。  嫌いじゃない。  僕は、暁斗のことが、嫌いじゃない。  いや、むしろ……。 「僕は、暁斗のことが好きなのかな」  本人を目の前に、しかも本人自身にそのような問いかけを。  やはり、愛らしい。  胸がかきむしられるように、愛しさが込み上げてくる。 「だと、いいですね」  短くそう言って、暁斗は昴を抱きしめた。  その細い体が折れてしまうくらい、強く強く抱いた。  苦しさに漏らす、小さな息がまた色っぽい。  抱きしめたまま、形の良い耳をしゃぶった。  甘噛みし、耳孔に舌を這わせた。  そのまま首筋にむしゃぶりつき、音をたてて強く吸った。

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