49 / 193

第二章・13

 熱く激しい口づけを終え、ようやく顔を離して昴の眼を見た。  蕩けて色気の増したまなざしが、こちらをうかがってくる。  もうおしまいですか? 昴様。それとも……。 「やっぱり」 「え?」 「やっぱり、暁斗に触れられても、ちっともイヤじゃない。キスされても、気持ち悪くもない」  暁斗は苦笑いした。  口づけしながら、そんな事を考えていたのか。  まだまだ、愛情を持って応えてくれるには、程遠いらしい。 「なぜだろう、暁斗。なぜだろう」  真剣なその目つきから解かることは、言葉遊びを誘っているわけではない。  心底、自分の気持ちが掴めずにいるのだ、この主人は。 「私のことが、お嫌いですか?」 「嫌いじゃない」 「だから、でしょう」  

ともだちにシェアしよう!