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第二章・16
「今度から、欲しくなったら自分でこうなさい」
そう言って、昴の手に自分の手を重ねて、暁斗は彼の棒心をゆっくり擦った。
「いや。嫌だ、暁斗。うぅッ!」
片手で昴の手を動かしながら、もう片方の手の中指を咥え唾液で湿らせた。
この前は人差し指だったが、今夜は少し太い中指が挿入るかな……。
濡れた指で昴の後膣に触れると、すぐにびくんと収縮した。
性器を擦る手も、止まる。
身を固くして、息を詰めてしまった。
そっと顔を覗き込むと、ぎゅうと眼を閉じて震えている。
暁斗は昴の瞼に軽く口づけると、耳元で優しく囁いた。
「眼を開けてごらんなさい。月が綺麗です」
ぴくん、と昴の瞼が震え、瞳が恐る恐る開かれた。
高く昇りかけた月は、溶けるような金から、冴え冴えとした銀へとその色を変えている。
澄み切った夜空に輝く月には、引き込まれそうな気高さがあった。
ふ、と昴から力が抜けてゆく。
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