52 / 193

第二章・16

「今度から、欲しくなったら自分でこうなさい」  そう言って、昴の手に自分の手を重ねて、暁斗は彼の棒心をゆっくり擦った。 「いや。嫌だ、暁斗。うぅッ!」  片手で昴の手を動かしながら、もう片方の手の中指を咥え唾液で湿らせた。  この前は人差し指だったが、今夜は少し太い中指が挿入るかな……。  濡れた指で昴の後膣に触れると、すぐにびくんと収縮した。  性器を擦る手も、止まる。  身を固くして、息を詰めてしまった。  そっと顔を覗き込むと、ぎゅうと眼を閉じて震えている。  暁斗は昴の瞼に軽く口づけると、耳元で優しく囁いた。 「眼を開けてごらんなさい。月が綺麗です」  ぴくん、と昴の瞼が震え、瞳が恐る恐る開かれた。  高く昇りかけた月は、溶けるような金から、冴え冴えとした銀へとその色を変えている。  澄み切った夜空に輝く月には、引き込まれそうな気高さがあった。  ふ、と昴から力が抜けてゆく。

ともだちにシェアしよう!