178 / 193
第七章・12
は、と自分の悲鳴で目が覚めた。
夢か!
頬には、まだ濡れた涙の痕がある。
(夢なら体が動かないはずだ)
やけに生々しい夢だった。
そして、その淫夢の置き土産もしっかり残されていた。
「うぅ、気持ち悪い……」
昴は、夢精してしまったのだ。
「嘘。もうヤだ」
シーツに、べったりと染み付いたものからは、かすかに青い香りすら漂ってくる。
(夢の中で犯されて、それでも感じて漏らしちゃうなんて)
のろのろと、パジャマを脱いだ。
シーツもまるめて、ぺたぺたと裸足で浴室へ向かった。
冷たい水。
水でシーツの体液を洗い流しながら、昴は思った。
「せめて、夢の中に暁斗が出てくれればよかったのに」
だのに、古川なんかに抱かれちゃった。
ともだちにシェアしよう!