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第七章・27
「古川執事も、口添えしてくれたそうですね」
「え? う、うん」
まだ彼を見ると、あの淫夢を思い出す。
あまり会いたくなかったが、そこは暁斗との旅行のために我慢だ。
「何かお土産を買って帰らねばなりませんね」
「そうだね」
目的地は、特にない。ただ、南へと進路を向けた。
北の大地で散々な目に遭った暁斗の、たっての願いだ。
「景色の綺麗な所へ行こうよ。それから、美味しいものを食べよう」
「ええ、そうですね」
どこへ行こうか。どんな景色に出会えるか。
当てのない二人の旅行は、無限の可能性に満ちていた。
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